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代襲相続の対象となる範囲

  • 文責:弁護士・税理士 小島 隆太郎
  • 最終更新日:2023年8月24日

1 代襲相続とは何か

代襲相続という文字からは、相当難解な法律用語の印象を受けられるかもしれません。

代襲相続とは、本来相続人となる被相続人の子または兄弟姉妹が、被相続人死亡時点ですでに死亡していた場合等に、その死亡していた者の子が、本来の相続人に代わって相続することをいいます。

なお、代襲相続は、被相続人がお亡くなりになり、遺産分割協議が終わる前に相続人が死亡してしまうことで発生する二次相続とは区別されます。

本来相続人となる被相続人の子または兄弟姉妹のことを、被代襲者ということがあります。

被代襲者に子が多い場合、代襲相続人の数が増えるので、相続関係が複雑になることもあります。

被代襲者が養子縁組をしていることなどもありますので、被代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍を取得し、しっかりと調査する必要があります。

では、代襲相続は、どこまでが対象になるのでしょうか。

以下、このことについて詳しく説明します。

2 直系卑属(子や孫)が相続人となる場合

被相続人の子が被相続人よりも先に死亡していた場合には、被相続人の子の子、すなわち孫が相続人となります。

孫が複数人存在する場合、孫は全員代襲相続人となります。

あまり多くはありませんが、被相続人の孫も被相続人死亡時点で死亡しており、孫にも子がいたという場合には、孫の子である被相続人のひ孫が相続人となります。

直系卑属が代襲相続人となるケースにおいては、直系卑属が連続する限り続くことになります。

被相続人が養子縁組をしていた場合には、複雑な関係が発生しますので、注意が必要です。

被相続人の養子が、被相続人死亡時点ですでに死亡していた場合、養子の子が代襲相続をするかどうかは、養子の子が生まれた時期により異なってくるためです。

被相続人と養子が養子縁組をした日より前に、養子の子として生まれた者は、養親との間に血族関係は生じません。

そのため、養子の子は養親の直系卑属ではないことになり、代襲相続をしないという結果になります。

逆に、養子縁組の日以降に、養子の子として生まれた者は、養親との間に血族関係が生じるため、養親の直系卑属となり、代襲相続をすることになります。

このことは、戸籍謄本を細かく読み込まないと見落としてしまうため、被相続人より先に養子が死亡している場合には専門家に相談した方が良いこともあります。

3 兄弟姉妹が相続人となる場合

被相続人に直系卑属も直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

その兄弟姉妹が死亡していた場合には、その兄弟姉妹の子(いわゆる被相続人の甥、または姪)が代襲相続人になります。

ところが、被相続人の兄弟姉妹が被代襲者の場合、被相続人の子が被代襲者である場合と異なり、兄弟姉妹の子までしか代襲相続は生じません。

そのため、被相続人の甥、または姪が死亡していた場合でも、さらに甥、姪の子が相続人となることはありません。

これは、兄弟姉妹の子よりも下の世代となると、一般的には被相続人とは相当疎遠であると考えられることから、相続をさせる必要がないという思想に基づくものといわれています。

4 欠格事由がある場合、廃除された場合、相続放棄をした場合

代襲相続は、本来被相続人の相続人となる子や兄弟姉妹が死亡していた場合だけでなく、本来被相続人の相続人となる子や兄弟姉妹に欠格事由がある場合や、本来被相続人の相続人となる子が排除されている場合にも発生します。

これに対し、相続放棄をした相続人に子がいた場合は、代襲相続は発生しません。

相続放棄は、はじめから相続人ではなかったことになるという法的な効果があります。

そのため、被相続人の相続人が相続放棄をした場合、その子にも相続の効果は発生しないということになります。

相続放棄は、被相続人が債務超過(相続財産よりも相続債務の方が多い状態)に陥っている場合に選択されることが多くあります。

相続放棄を検討する際、被相続人の債務が自分の子に降りかかるかもしれないと心配をされる方もいらっしゃいますが、そのようなことはないので、安心してください。