相続でお困りの方は【相続オールサポート】

相続でお悩みの方のための総合情報サイト

相続税対策の失敗事例

  • 文責:弁護士・税理士 小島 隆太郎
  • 最終更新日:2023年7月27日

1 不動産の評価減を利用しようとしたところ否認された事例

被相続人は、A不動産を約8億3000万円、B不動産を約5億5000万円で取得し、A不動産を約2億円、B不動産を約1億3000万円として評価しました。

また、小規模宅地等の特例などを活用して、相続税を0円で申告したところ、税務署がA不動産は約7億5000万円、B不動産は約5億2000万円で評価するのが適切と判断し、約3億円の追徴課税がなされました。

納税者は納得することができず、訴訟提起し、最高裁まで争いましたが、令和4年4月19日の最高裁決定で納税者は敗訴が確定しました。

2 上記最高裁判例のポイント

⑴ 通達の評価であったにもかかわらず否認された

納税者の当初行った不動産の評価額は、決して違法な評価方法などではなく、税務署の通達に則った評価方法でした。

そのため、最高裁でも、「課税庁が、特定の者の相続財産の価額についてのみ評価通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によるものとすることは、合理的な理由がない限り、平等原則に違反して違法」と述べています。

ただ、この「合理的な理由」について、最高裁では、「評価通達の定める方法による画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある場合」には合理的な理由があるとしています。

⑵ 上記事例における事情

最高裁の事例では、不動産の購入・借入がなければ、課税価格の合計額が6億円超であったにもかかわらず、購入・借入が行われたことで、通達の評価方法では課税価格の合計額が2826万円程度になってしまうことや、この購入・借入が近い将来発生することが予想される被相続人からの相続において、相続人らの相続税の負担を減じ又は免れさせるものであることを知り、かつ、これを期待して、あえて購入・借入を企画・実行したということから、租税負担の軽減をも意図して行ったと認定し、「実質的な租税負担の公平に反するというべき事情がある」として、本件の納税者に評価通達の定める方法により評価した価額を上回る額とすることについて、「合理的な理由がある」と認定しました。

参考リンク:最高裁判所判例集