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遺言を作っておくべき人

  • 文責:弁護士・税理士 小島 隆太郎
  • 最終更新日:2022年7月1日

1 相続人が誰もいない場合

この場合、ご自身の財産は国庫に帰属することになります。

ご自身の財産を国に寄付したい場合は、特に遺言書を作る必要もありませんが、生まれ育った町に寄付したい、最後まで面倒を見てくれた人に渡したいなどのご希望がある場合は、遺言書がなければ実現することはできません。

そのため、遺言を作るべきです。

2 ご夫婦の間に子がいない場合

子がいないご夫婦のなかには、夫が亡くなると妻にすべての財産が相続されると考えている方もいます。

ただ、これは注意が必要です。

法律では、相続の順番が決められています。

まず、妻は第一の相続人となります。

次に、ご夫婦間に子がいない場合、妻の次に相続人となるのは、夫の両親です。

つまり、遺言がなければ、妻と義両親との間で相続争いが起きるおそれがあります。

ご夫婦間に子がおらず、既に義両親が亡くなっている場合、妻の次に相続人となるのは、夫の兄弟です。

つまり、遺言がなければ、妻と義兄弟との間で相続争いが起きるおそれがあります。

3 財産のなかで不動産の価値が占める割合が大きい場合

財産のなかで預貯金の割合が大きい方は、相続人間で分けることができますので、あまり心配する必要はありません。

ただ、不動産の占める割合が大きい場合、相続人間で争いになる可能性が高くなります。

例えば、相続財産が実家の家・土地で4000万円、預貯金が1000万円で相続人が長男と長女の二人で最後まで同居して面倒を見てくれていた長女に実家を譲りたいという思いがあったとします。

ただ、長男と長女の法定相続分はそれぞれ1/2ですので、長男にも2500万円分の相続財産をもらう権利があります。

そうすると、長女が実家の家土地をもらい長男が預貯金をもらった場合、長男は長女に対して、1500万円を支払えという権利がありますので、長女はなんとかして1500万円を用立てなければなりません。

遺言があれば、長男が長女に対して請求することができる権利は、遺留分の限度になりますので、この場合であれば、750万円までしか主張することはできなくなります。

4 子どもたちに相続税の心配をかけたくない人

相続税を大幅に安くする特例として、小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減特例という特例があります。

ただ、相続税の申告期限までに申告することができなければ、これらの特例が使えない状態で一度申告・納税まで行わなければなりません。

しかも、遺産分割が終わっていなければ、相続人である子どもたちは、自らの預貯金から相続税を納めることになってしまいます。

相続税の申告期限までの間に最も時間がかかる手続きは、遺産分割協議ですが、遺言書があれば、この遺産分割協議を行わずに相続税の申告を行うことができます。

したがって、このような場合も遺言を作ることをお勧めします。