遺産分割調停にはどのような費用がかかりますか?
1 遺産分割調停を行う場合にかかる費用の概要
相続人間の話し合いでは遺産分割協議がまとまらない場合には、管轄の家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てて遺産分割をすることになります。
遺産分割調停を申し立てる際には、申立書のほか、相続関係に関する資料、相続財産に関する資料を収集して提出する必要があります。
これらの資料は、市役所や金融機関等で取得しなければならないものもあり、手数料がかかることもあります。
遺産分割調停の期日は家庭裁判所で行われるため、家庭裁判所に行く交通費なども必要です。
また、遺産分割調停の代理を弁護士に依頼する場合には、弁護士費用が必要になります。
以下、詳しく説明します。
2 ご自身で遺産分割調停を行う場合
遺産分割調停は、弁護士に依頼しなくても、相続人ご本人様で申立てを行い、その後の期日に出席することができます。
相続人ご本人様で遺産分割調停を申立てる場合に必要となる費用は、大きく分けて家庭裁判所に納める費用、書類収集費用、家庭裁判所等までの交通費になります。
家庭裁判所に納める費用は、申立手数料1200円と、予納郵券(家庭裁判所によって異なりますが、通常数千円程度)です。
書類収集費用とは、相続関係を示すための戸籍謄本類の取得費用(相続人の数などによって異なりますが、通常数千円~数万円程度)、相続財産の内容を示すための預金残高証明書、有価証券の残高証明書、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書の取得費用(合わせて、通常数千円程度)です。
遺産分割調停は、相手方(他の相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所で行われます。
そのため、場合によっては、遠方の家庭裁判所まで行くことになりますので、新幹線や飛行機を用いると交通費が数万円になることもあります。
3 遺産分割調停の代理を弁護士に依頼する場合
弁護士に遺産分割調停の代理を依頼する場合に必要となる費用は、大きく分けて相談料、着手金、報酬金、実費、出張・出廷日当になります。
相談料は、弁護士にもよりますが、概ね30分あたり5500円から11000円となります。
弁護士あるいは法律事務所によっては、遺産分割調停を依頼した場合には相談料無料等の料金設定をしていることもあります。
着手金は、一般的には経済的利益(遺産分割調停による取得が想定される遺産の評価額)の2~8%程度となります。
弁護士あるいは法律事務所によっては、着手金は固定された金額となっていることもあります。
報酬金は、一般的には経済的利益(遺産分割調停によって実際に取得した遺産の評価額)の経済的利益の額の4~8%程度となります。
遺産が非常に少ない場合などは、最低報酬金が定められていることもあります。
場合によっては、遺産分割調停によって取得できる金額よりも弁護士費用の方が高額になってしまうこともあるので注意が必要です。
実費は、遺産分割調停申立費用、予納郵券、書類収集費用、交通費、郵送費等であり、遺産の内容や遺産分割調停が行われる家庭裁判所の所在地にもよりますが、概ね数千円~数万円となります。
出張・出廷日当は、一般的には、概ね1日(1期日)あたり3~5万円となります。
4 その他
遺産の中に不動産が含まれており、特定の相続人がその不動産の取得を希望している場合、代償金の計算上、不動産の評価額について争いが生じることがあります。
一般的には、固定資産評価額、相続税評価額、不動産会社の査定書などをもとに評価額を協議して決定しますが、相続人間で不動産評価額の合意ができない場合、不動産鑑定士による鑑定を行うことがあります。
不動産鑑定士に鑑定を依頼する場合、数十万円程度の費用を要します。
また、特別受益や寄与分の算定のため、被相続人の預貯金の取引履歴を取得することがあります。
預貯金の取引履歴の取得費用は金融機関によって異なりますが、過去10年分を取得した場合には数万円の費用が掛かることもあります。