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生前に相続放棄をすることはできますか?

  • 文責:弁護士・税理士 小島 隆太郎
  • 最終更新日:2023年2月20日

1 生前の相続放棄の可否

結論から申し上げますと、被相続人となるべき方のご生前に、推定相続人の方が相続放棄をすることはできません。

相続放棄は、相続の開始、すなわち被相続人お亡くなりになったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に対して行う手続きとされています。

つまり、被相続人が死亡していることが前提となっている手続きなのです。

似て非なるものに、被相続人となるべき方のご生前に、他の相続人に対して、書面等で相続を放棄する旨の約束をするというものがあります。

これについては、法的な効力はありません。

法律上の相続放棄は、家庭裁判所に対して手続きを行う必要があります。

なお、家庭裁判所に対して行う相続放棄と似た制度に、遺留分の放棄というものがあります。

遺留分の放棄は、被相続人となるべき方のご生前に行う手続きではありますが、厳格な要件のもので裁判所の許可が必要となる手続きであり、相続放棄とは全く別の手続きとなります。

2 生前の対応

生前に相続放棄ができないとしても、前もって準備をすることはできます。

相続放棄は、相続の開始を知ってから3か月以内に、必要な書類を揃えて管轄の家庭裁判所に提出をしなければなりません。

3か月という期間は、とても短いです。

相続の開始を知ってから相続放棄の準備を始めると、相当忙しくなります。

そのため、事前に戸籍謄本類の一部を収集したり、債務を含めた財産の調査を行っておくことは大切です。

被相続人となるべき方が賃貸物件に住んでいる場合、相続開始後に賃貸借契約、電気・ガス・水道供給契約の解除(相手から一方的に法定解除をしてもらう)ことや、賃貸物件内の残置物の処分を行うことは簡単ではありません。

そのため、可能であれば、被相続人となるべき方がご存命のうちに、これらの契約の解約や名義変更を行い、不必要な生活用品を処分しておく等の準備をしておくとよいです。