相続登記をしない場合のデメリットは何ですか?
1 相続登記とは
被相続人が死亡すると、相続が開始されます。
被相続人が不動産を所有していた場合、遺産分割協議等により、誰が当該不動産を取得するのかを決めます。
もし相続人が1人しかいない場合には、その相続人が不動産を取得することになります。
不動産の所有権が、被相続人から相続人に移転しますので、登記名義人も変更する必要があります。
相続を原因とする登記を「相続登記」といいます。
2 相続登記をしない場合のデメリット
⑴ 将来発生する相続の際の手続きが煩雑になる
不動産を所有していた被相続人が亡くなり、相続人が子3名だったと仮定します。
そして、各相続人には、それぞれ子が2名いるとします。
もし相続人3名が遺産分割協議をしないまま数十年が経過し、次の相続が発生してしまうと、その子が相続するため、6名(3×2)が相続人になってしまいます。
その結果、当初は3人で行うはずだった遺産分割協議は、今度は6人で協議をしないと相続登記をすることができなくなってしまいます。
実際、相続登記がなされないまま長年が経過し、相続人が数十名に及んでしまっているケースもあります。
このような場合、相続人を確定させるだけでも、多大な労力や時間、費用が必要になります。
また、連絡が取れない相続人がいることも珍しくありません。
こうなってしまうと、家庭裁判所に対して遺産分割の審判を申立てなければならないなど、手続きが非常に大変になってしまいます。
⑵ ペナルティが課される
2024年4月1日からは、相続登記を義務化する法律が施行されます。
その趣旨は、まさに⑴で述べたように、相続登記がなされないまま所有者が不明になってしまうことを防止することにあります。
所有者が不明になってしまうことで、売買ができず、土地が有効に活用できなくなってしまうのを防止するのが目的です。
相続登記を義務化する法律が施行されると、相続で不動産取得を知った日から3年以内に正当な理由がなく登記・名義変更手続きをしないと10万円以下の過料の対象となります。