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弁護士に相続の相談をしてから解決までにかかる時間

1 弁護士に相続の相談をしてから解決までにかかる時間の概要

結論から申し上げますと、弁護士に相続の相談をしてから解決までにかかる時間は、遺産分割に争いがない場合であれば、一般的には6か月~10か月程度であると考えられます。

相続についてご相談をされてから解決までの間には、相続人の調査・相続財産の調査、遺産分割協議、不動産がある場合の相続登記、預貯金や有価証券等の解約・名義変更、相続財産の評価額が一定額を超える場合の相続税申告・納付などを行う必要があります。

今回は、これらの手続き等について、かかる時間の目安を説明していきます。

2 相続人の調査・相続財産の調査

相続に関係する手続きにおいては、相続人の調査と相続財産の調査は必須の作業となります。

相続人を調査し、確定させないと、有効な遺産分割協議を行うことができません。

また、その後の相続手続きにおいても、相続人を証明するための資料として、戸籍謄本類の提示が求められます。

相続人を確定させるためには、基本的には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本と、相続人の現在の戸籍謄本を収集します。

代襲相続が発生している場合には、被代襲者の出生から死亡までの連続した戸籍謄本も必要です。

戸籍謄本の収集には、通常1~2か月程度かかります。

相続人調査と並行して、相続財産の調査を進めます。

具体的には、被相続人の預貯金通帳の確認、有価証券の残高証明書の取得、不動産の登記・固定資産評価証明の取得、負債の確認、生命保険金の保険証書と支払通知書の確認などを行います。

生命保険金は、民法上は相続財産ではありませんが、相続税の課税対象となりますので調査をしておく必要があります。

これらにも1~2か月程度は必要となります。

3 遺産分割協議

相続人と相続財産の調査が済み、かつ相続人が複数人いる場合には遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議にかかる時間は、事案によって大きく異なります。

まず、争いがない場合は、相続人間での取り決めに従って遺産分割協議書を作成します。

遺産分割協議書の作成には、一般的には1か月程度を要しますので、相続人の調査と相続財産の調査と合わせて、2~3か月程度必要となります。

なお、遺産分割協議がまとまらず、相続人間での争いに発展してしまった場合には、弁護士を代理とした交渉や、家庭裁判所における遺産分割調停・審判を行うことになりますので、6か月~数年間必要となることもあります。

4 不動産がある場合の相続登記

相続によって被相続人の不動産を取得した場合には、相続登記をする必要があります。

令和6年4月より、相続登記は義務化されましたので注意が必要です。

相続登記は遺産分割協議書を作成した後で、管轄の法務局に相続登記申請書等と一緒に提出することで行います。

相続登記の申請から、名義変更が完了するまでは、概ね1か月程度を要します。

5 預貯金や有価証券等の解約・名義変更

遺産分割協議書を作成した後は、預貯金や有価証券の解約・名義変更を行うことができるようになります。

預貯金や有価証券の解約・名義変更は、銀行や証券会社等の窓口で相続手続きの申請や必要書類の提供をしてから、1か月程度の期間を要します。

また、株式や投資信託の名義変更をする場合、被相続人の口座がある証券会社等に、相続人の口座の作成を求められることもありますので、口座作成の期間も必要となることがあります。

6 相続財産の評価額が一定額を超える場合の相続税申告・納付

生命保険金などのみなし相続財産を含む相続財産の評価額が一定の金額を超える場合には、相続税の申告と納付を行わなければなりません。

相続税申告・納付は、原則としては遺産分割協議が完了していることが前提となります。

そして、相続税申告・納付の期限は、相続の開始を知った日(一般的には、被相続人が死亡した日)の翌日から10か月以内です。

遺産分割協議と並行して相続税申告・納付の準備を進めた場合、遺産分割協議書作成後、相続税申告書の提出まで1~3か月程度要すると考えられます。